「立待月」「居待月」「寝待月」って?形で変わる月の風流な呼び方
こんにちは。サンキュ!STYLEライターのdanngoです。
夜風が涼しく感じられるようになってきたら、庭やベランダで月を眺めてみるのも楽しいものですよね。
月見にかかわる言葉としては「中秋の名月」や「十五夜」あたりが有名。
今回はちょっとマニアックな「立待月」「居待月」「寝待月」について説明します。
ちょっと立って待ちましょうか「立待月」
陰暦17日の月を「立待月(たちまちづき)」と呼びます。
「十五夜」という言葉からわかるように、だいたい陰暦の15日が満月。
それより2日後なので、満月に近いけれどやや右側が欠けている状態です。
日没とほぼ同時に出る満月よりも、やや月の出が遅くなります。
1日あたり約50分遅くなる(状況によって変動するため必ずではない)ので、100分ほど遅れる計算。
家の外に出て少し立っている間に出る月、ということでこの名前があります。
ゆっくり座って待ちましょう「居待月」
「居待月(いまちづき)」は陰暦18日の月をさします。
欠けた部分はさらに大きくなり、ちょうど満月から三日月を切り取ったような姿に。
月の出は立待月より遅くなるため、立って待つのではなくゆっくり座って待つ、ということで「居待月」と呼ばれます。
「居る」は「そこにいる」という意味ではなく、「座る」の意味なのです。
のんびり寝ながら待ちますよ「寝待月」
さらに日がたって陰暦19日の月になると、「寝待月(ねまちづき)」と呼ばれます。「臥待月
(ふしまちづき)」とも。
右側の欠けが大きくなり、満月より下弦の月に近い状態に。
月の出はかなり夜更けになってしまいます。
子どもならすでに布団に入っている時間に出ることが多く、ゴロゴロと寝ころびながら待つということで「寝待月」と呼ばれます。
「十六夜」「有明の月」なども
月の満ち欠けに関わる用語としては、「「十六夜(いざよい)」や「有明(ありあけ)の月」というのも文学作品にはよく出てきます。
「十六夜」は文字通り十五夜の1日後に出てくる月のことをさします。
「いざよい」という呼び方は「いさよふ(ためらう)」という言葉からきています。
十五夜の時より少し遅れてためらうように出てくる月、のニュアンスです。
「有明の月」は十六日以降の月が夜明けも空に残っている状態をさす言葉。
月の出が遅れるということは月の入りも遅れるということ。
日の出とほぼ同時に隠れる満月より沈むのが遅く、日がのぼって少し空が白んでくる頃に月が地平線の少し上に残る形になるのです。
「明るくなっても空にある月」という意味なのですね。
この「有明の月」は男女の別れの情緒を強調するものとして、よく和歌や物語に出てきます。
ほとんどの現代人が「満月のちょっと欠けた感じ」としか表現しようのない月にも、昔の人は風情ある名前をつけていたのですね。
月は満月でなくても美しいものですから、今後はふと空を見上げて「立待月だ」などとつぶやいてみてはいかがでしょうか。
◆記事を書いたのは・・・danngo
中高国語科教員免許を持つ、活字中毒気味のアラフォー。高学歴・高血糖・高齢出産の三高ライター。「家事は化学、子育ては文学」を信条としている。