文章を書く高齢者

看護師が父親とエンディングノートを作成したときに感じたこと

2023/06/16
  • 知って活用、暮らしに溶け込む健康づくりをモットーに東洋医学のセルフケアの知恵を取り入れやすく続けやすいように発信します。看護師・薬膳師・などの資格をもつ令和元年生まれの坊やのママです もっと見る>>

看護師の薬膳ナースけいこです。

エンディングノートとは、病気や亡くなるなどの理由で、意思表示ができなくなった時に周囲の人が判断に困らないように「してほしい治療」「してほしくない治療」などの医療面や介護のこと、葬儀や財産のことなど自分の意思を書き残しておくノートのことです。

私は以前、父親と一緒に「父親のエンディングノート」を作成しました。

看護師である私は、手術などの治療を受けて全身状態が急変しやすい患者さんがいる病院や一般的にホスピスと呼ばれる、完治することが難しい余命を宣告された方が過ごす病院で勤務していた経験があります。
医療現場にいたことから「してほしい治療」「してほしくない治療」などのエンディングノートに記入することの多い医療面の内容については把握できています。

そんな私が、医療従事者ではない父とエンディングノートを作る時に感じたことをお伝えします。

エンディングノートを「作ろう」と切り出すタイミング

父は時々「なんかあったら延命しなくていい」と言っていました。
なんとなく、自分に何事かあれば一人娘である私に連絡がいって色々な判断をしてもらうことになると考えた上での言葉だと思います。

ですが、延命治療とはどこからどこまでか、何をもって延命治療というのか、難しいテーマです。
お互いの認識違いがあって当然だと思いました。
命はひとつ。
治療には、急な判断を要することだってあります。

父と私の間で認識違いのないように「エンディングノートを作った方が良いな」と思いつつ「かなり、ナーバスな内容を話さないといけない」「作るなら、時間がかかりそうだな」という考えも浮かび、忙しさもあってなかなか作成できずに時間が過ぎていました。

そんな中、父が少し忘れっぽくなったかなと感じることが増えてきました。
早く作成しなくてはと感じていたころ、父が検査入院で自分の健康状態に向き合うタイミングがあったため、退院後に「この先、健康状態が急変したときに、お互いの認識違いでこんなはずじゃなかったという後悔をするのをできるだけ避けるために、お互いの手元に目に見える形で残せるものを作っておこう」と切り出し、エンディングノートを作ることにしました。

父は、難色を示すことなく「その方がお互い助かるな」と言って前向きに取り組んでいました。

医療行為について説明する難しさがあるのではないか

自分で意思表示ができなくなった時にどこまで治療をするかを一緒に考える時に、医療行為の目的やメリット、デメリットなどを理解してもらう必要がありました。

例えば、呼吸が弱った時なら「気管切開」「気管内挿管」「人工呼吸器」「それ以外の呼吸を助ける医療機器」
口から栄養を摂ることが困難になった際の「胃瘻(いろう)」などなど

一つ一つ説明する中で、父が「それ、知っとる」というのです。
多少の認識違いはあるものの、ほぼ正確に医療行為について知っていました。

時々、入院することがある中で看護師さんに教えてもらったり、テレビで見たことを覚えていたのだそうです。
私が思っていたよりも、かなり具体的に「自分だったらそれをするか、しないか」切実に考えていたようでした。
おかげで予想よりもかなりスムーズに医療や介護について記入を進めていきました。

ですが、ふと感じたのは、医療従事者がいない状態で、入院をほとんどしたことないような人がこれを記入するのは、かなり大変だろうということです。
医療行為をひとつづつ調べて、メリットデメリットを判断しながら書く…時間と労力のかかることだと思います。
体調が悪くなってから作成するのではなく、元気なうちに、時間に余裕をもってエンディングノートを作成しておいた方が良いと感じました。

作っておいて本当によかった

現在、父は80代になります。
手足が不自由なこともあり、特別養護老人ホームに入所しました。
少しづつ認知症も進行してきています。

施設に入所する際、共通認識していただくために、職員の方に作成したエンディングノートを渡しました。
「実は、これを持参して入所される方はほとんどいない現状があるんです」「本当に助かります」と言われました。
その表情から看取りの現場で職員の方が抱えているジレンマを感じました。

どのように命の終わりを迎えるかは予想できませんが、少なくとも本人の意向が反映された治療を選択してあげられると思います。
エンディングノートを作って本当に良かったと思いました。

〇この記事を書いたのは…薬膳ナースけいこ
薬膳師/看護師/経絡ヨガ指導者/薬膳茶エバンジェリスト
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