じつは間違っているかも!?「冷暗所で保存」のコツを食育インストラクターが解説

2023/07/29
  • 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>

冷蔵庫に入れなくてもよい食品の保存方法として、よく「冷暗所で保存してください」という注意書きを見かけます。
でも、「冷暗所」って具体的にどんな場所でしょうか。
今回は、食育インストラクター・野菜ソムリエの資格を持つライター・植松愛実が、見落としがちな「冷暗所」のポイントを解説します!

必要なのは「暗さ」と「冷たさ」だけではない!

「冷暗所」というくらいだから、「冷たくて暗い場所」ならOK!…そう思われるかもしれません。
しかし実際には、「冷暗所」で保存するよう指定されている食品の多くは、直射日光と高温だけでなく、湿気にも弱いのです。

つまり、「冷暗所」で保存と書いてある食材を保存するには、「日光」と「高温」を避けて、さらに「湿気」も避ける必要があります。

でも、「冷暗所」という言葉には「冷」と「暗」しか書いていないのに、「湿」まで考えないといけないなんて、わかりづらいですよね。
食品会社もそう考えるところが多かったのか、じつは最近では「冷暗所」ではなく「直射日光と高温多湿を避けて保存してください」と書かれている食品がかなり増えています。

「冷たい」の基準はひとつじゃない

「冷暗所」の「冷」って、具体的に何度なのでしょうか。
じつは、これについて明確な決まりはないのです。

大手食品会社のHPでは、"「冷暗所」で保存すべき食品は「常温」で保存してください"と書いてあるところが複数ありますが、そもそも「常温」が示す温度にもかなり幅がありますよね。

厚生労働省の定める「常温」は「外気よりも低い温度」ですが、日本工業規格(JIS)の基準は5~30度。
もちろん各食品のメーカーにそれぞれ問い合わせれば答えてもらえそうですが、家中の食品について全部確認するのは大変です。

そのため、「冷暗所で保存」の食品を置く場所で私がおすすめするのは、床下収納庫や、風通しがよい廊下など。
こういった場所なら、「日光」「高温」「湿気」をすべて避けて食品を保存することができます。

なお、「冷暗所で保存」という表記は食品以外でも薬に書かれることがありますが、薬については「冷所」を1~15℃と厚生労働省が定めているので、この温度を守るようにしてください。

不安な場合は野菜室も活用を

すべての家庭に床下収納庫や風通しのよい廊下があるわけではないので、自宅のどこに「冷暗所で保存」のものを置けばよいのか悩む人もいると思います。

そんなときは、冷蔵庫の野菜室に入れるのも一つの方法です。

ただ、もともと要冷蔵ではない食品は結露しやすいなど温度変化に弱い場合が多く、頻繁に出し入れしたり長時間出しっぱなしにしたりすると、温度変化によって傷んでしまう場合があります。
野菜室を活用するときは、出し入れを最小限にするよう気をつけましょう。

■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。

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