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【防災士解説】低体温症と無関係な人はいない!災害時以外も覚えておきたいポイントとは

2024/01/10
  • 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>

「低体温症」と聞くと、自然災害時や山岳遭難時の話だと思っていませんか?
じつは日本では毎年、災害や遭難と関係なく多くの人が低体温症になっていて、なかには持病がなく健康で若い人もい含まれているのです。
しかも北海道のような寒冷地に限らず、沖縄を含む全国で患者は発生しています。

そもそも低体温症とはどういう状態で、どんなときに注意が必要なのか。
今回は、気象予報士・防災士の資格を持つライター・植松愛実が、低体温症について平常時も災害時も知っておきたいポイントをまとめます。

単に「体温が低い」わけではない

体温計

私たちはふだん体温計で体温を測りますが、低体温症で言うところの「低体温」は、通常の体温計で測った数字の話ではありません。
「深部体温」といって、体の内部の温度が低下していることを指しています。
そして「深部体温」が低くなりすぎると、体の重要な筋肉や臓器まで冷えて機能が低下してしまうことに…。

初期症状としては体がふるえたり歯がカタカタ鳴ったりするのが特徴で、症状が重くなると脈拍や血圧が低下し、最終的には意識を失って呼吸も止まってしまいます。

災害時だけじゃない!平常時&屋内でも低体温症に

救急車

低体温症にもっとも注意が必要なのはもちろん、災害でライフラインが止まってしまい暖房が使えない場合や、あるいは山や海での遭難時などですが、じつは平常時かつふつうの家の中でも、低体温症による死者は毎年発生しています(厚生労働省データ)。

たとえば冬の夜、暖房を切ってから寝ていたら思いのほか冷えてしまった場合や、仕事で疲れきった状態で帰宅したり飲酒をして酔って帰ってきたりして暖房をつけ忘れたまま家で過ごした場合など、若くて健康な人でも低体温症になり救急搬送されることがあるのです。

平常時・災害時ともに工夫を

ベッドで眠る子ども

平常時においては、まずはふだんから室温を気にすることから始めましょう。
WHO(世界保健機関)では、健康に過ごせる室温として「18℃以上」という基準を設けています。

日本の住宅は冷えやすく、冬期はたとえ西日本でも室温が下がりすぎることがあるため、外出から帰ったときはもちろん、夜寝る前にも室温を確認してください。
温度計は100円ショップでも売っていますし、エアコンや加湿器で室温がデジタル表示されるものも多いです。

また災害時は、たとえ物資やライフラインがかぎられているなかであっても、できるだけの工夫をしましょう。

もしカイロがあれば、首のうしろやわきの下など多くの血管が体の表面近くをとおる場所を優先して温めたり、新聞紙でもポリ袋でもなんでもいいのでとにかく手に入るものを体に巻きつけて空気の層を作ったりして、少しでも体を温めるようにしましょう。
万が一、津波や雨で体がぬれてしまった場合は、可能なかぎりぬれた衣服が肌に触れないようにしてください。

そして避難所では床付近が一番冷えるため、もし手に入れば段ボールや、あるいはカバンでもいいので、何かしら床に敷いた状態ですごすようにしましょう。

意識がぼんやりしていたら迷わず医療機関へ

頭を抱える女性

体がふるえて歯がカタカタ鳴る…という状態であれば、暖房器具や毛布などを使って体を温めることで治る場合が多いですが、意識障害まで進むともう医療行為が必要になってきます。
そのため、たとえばさっきまでふるえていた人がだんだんボーッとしてきたなど変化に気づいた場合は、迷わず医療機関につなぐことが必要です。

一方で災害時にはすぐに病院へ行くのが難しいことが多いため、平時以上にできるだけ低体温症を避ける工夫をする必要があります。
厳しい状況のなかでも前述のとおり、できるかぎりのことをしましょう。

また防災グッズを備える際にも、通常の使い捨てカイロは2~5年で使用期限が切れるため、備蓄用のカイロの使用期限を確認したり、家族全員の分が足りているか確認しておきましょう。

参考データ

■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。サンキュ!STYLEでは、誰かに教えたくなるお天気の豆知識や災害に備えるコツ、「食」に関する情報を中心に発信中。

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