台風10号

台風の記録的大雨で義理の実家に避難情報が…!防災士はそのときどうした?

2024/09/15
  • 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>

サンキュ!STYLEライターの植松愛実です。
今年8月、台風10号が九州に接近した際、瀬戸内海の離島にある筆者の義理の実家でも記録的な大雨となり、義理の実家を含めた地域には避難の情報も発表されました。

通常であれば急いで避難所へ向かうべきところ、避難情報が出たのは夜間で、しかもその島には土砂災害の警戒区域が多く、さらには義理の父は状況にピンと来ていない様子でした。気象予報士・防災士でもある筆者は、そのときどうしたのか?いざというときに備え、覚えておいてほしいポイントをまじえてお伝えします。

台風の影響で離れたところも大雨に…

雨

義理の実家が大雨に見舞われた日、台風10号が接近していたのは九州でした。しかし、台風周辺の暖かく湿った空気が流れ込む影響で、台風から離れた広い範囲で雨が降り、あちこちで大雨警報が出るという事態になっていました。

筆者の義理の実家がある瀬戸内はもともと雨が少ない地域ですが、その日の夜、ニュースを見ていたらいきなり義理の実家がある自治体の名前が速報テロップに登場。「1時間およそ90ミリの記録的大雨」と報じられたのです。

義理の実家に避難の情報!

雨

雨がたくさん降っただけでは、実際にその雨による災害が起きるかどうかは、判断できません。降った雨がどのくらい土にしみ込むかにもよりますし、その土地の性質によってどのくらいの降水量で災害につながるかが異なるからです。

そのため、気象庁では常に災害の「危険度」を計算してホームページの地図上に表示していて、その地図で「危険度」が高くなった場所について、各自治体が避難の情報を出すことになっています(「危険度」をホームページで見る方法は、この記事の後半で解説します)。

この日は筆者の義理の実家がある地域でも急激に「危険度」が上がっていて、自治体からは「高齢者等避難」の情報が発表されました。これは、高齢者や乳幼児、障がいのある人、妊婦、そしてペットと避難する人など、避難に時間がかかる人に対して避難をうながすための情報です。

義妹の「あてはまっとるやん」にもピンと来ない

スマホ

実家周辺が大変なことになっているということで、夫や夫の妹たちは、次々と実家に連絡を入れました。ただ、夫が「そっち大丈夫?」などと聞いても、義父は「うん、なんか雨すごい降ってるで~」という、いつも通りの感じです。

夫の家族でやっているLINEのグループトークでも、「『高齢者等避難』の情報が出たらしい」と他人事のように書き込む義父に対し、義妹が「自分、あてはまっとるやん」とツッコむのですが、いまいち何が起きているのかピンと来ていない様子。ふだんあまり雨が降らない地域なので、そもそも大雨に慣れていないのです。

さらに、じつは義理の実家がある島は、島のほぼ全土に土砂災害の警戒区域が点在するという、逃げる場所がない島です。自宅にとどまるのも自宅から出るのも危険。文字通り「万事休す!」でした。

100点満点の防災ができなくても

地図

筆者の義理の実家のように、いざ避難の情報が出ても身動きができない地域では、あらかじめ大雨になる可能性がわかっている場合には事前にやや遠い場所まで避難しておく、という選択肢があります。

もちろん、そういった事前避難にはコストもかかりますし、精神的な負担も大きくなります。そのため、いざ大雨になってしまった場合に土砂災害で命がおびやかされるストレスを感じながら夜を過ごすのと比べて「どっちがマシか」を考えて行動を選ぶことが必要です。100点満点の防災はできなくても、ちょっとでも「マシ」な結果のために行動する、ということになります。

ただ、今回の場合は、離れたところにある台風の影響で突然1時間100ミリ近い雨が降るという、かなり「備えにくい」パターンでした。筆者のように専門知識がある立場でも、「事前に避難して」と言うのは現実的ではありません。

そのため、義理の父に対しては「とりあえず朝までは、家の中のもっとも崖から離れた側で過ごして」とお願いする以外、やれることはありませんでした。じつはそれすら結構渋られたのですが、筆者と夫でかわるがわる説得して、なんとかやってもらいました。

「危険度」は自分で見ることができる!一歩早めの防災行動を

キキクル
後述する「キキクル」

この記事の前半で書いたように、雨が降っただけでは災害につながるかどうかわかりませんが、気象庁が出している「危険度」を見ることで、実際にどのくらい危険なのかを知ることができます。インターネットで「キキクル」と検索すると最初に出てきますので、クリックして出てくる地図のなかで自宅の場所などを探して、「危険度」を確認しましょう。

「危険度」は5段階に色分けされていて、上から2つ目の「紫」になった時点が、おおむね自治体から避難情報が出されるタイミングです。そのため、「今日は雨がひどいな」と感じるときは「キキクル」で色を確認して、もし紫になっていたら、いつ避難情報が出ても慌てないように準備をしておきましょう。

ちなみに、「避難」というのは「避難所に行く」ことだけでなく、もし自宅が土砂災害や洪水の危険のない場所に建っているのであれば「自宅から出ない」というのも「避難」です。ただ、早めに行動しないと「避難」の選択肢はどんどん狭くなってしまうので、「キキクル」を見ておくことで一歩早めの防災行動をしていきたいですね。

計算中

関連するキーワード