傘をさす女性

春にも"梅雨"がある!おいしそうな名前の梅雨をすごすためのポイントを気象予報士が解説

2024/03/14
  • 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>

梅雨と言えば毎年6月頃から7月頃にかけての長雨の季節ですが、じつは春にも"梅雨"という言葉を使うことがあります。
しかも、なんだかおいしそうな名前の"梅雨"なんですが…、本来の梅雨とは異なる注意点も。

今回は、気象予報士・防災士の資格を持つライター・植松愛実が、春の"梅雨"を快適にすごすためのポイントを解説します。

菜の花とタケノコ

傘と雨と手

菜の花とタケノコと言えば、日本の伝統的な食材で、春から初夏にかけて楽しめる旬の味覚ですよね。

じつは、その葉の花とタケノコの名前を冠した"梅雨"があります。
その名も「菜種梅雨」と「タケノコ梅雨」です。

「菜種梅雨」は3月の半ばから4月のはじめ頃にかけて雨の日が続く現象のこと。
そして、「タケノコ梅雨」は5月頃の天気に使われる言葉です。

体調を崩しやすい!「菜種梅雨」

菜の花

「菜種梅雨(なたねづゆ)」は3月半ばから4月にかけて、ちょうど菜の花が咲く時期に、一時的に雨や曇りの日が続く現象です。

6月頃にやってくる本来の梅雨と比べると期間は短く、1週間程度で終わることがほとんど。
ただ、注意したいのは寒暖差です。

3月から4月頃はもともと気温のアップダウンが大きい時期ではありますが、「菜種梅雨」の雨雲が少し南にずれたり北にずれたりすることで、1日に10℃くらい気温が変わるような、大きな寒暖差を生むことがよくあります。
もともと雨や曇りの日に頭痛や関節痛などが生じる人は多いと思いますが、そこに寒暖差が加わることでさらに体調を崩しやすくなります。

できるだけこまめに天気予報を確認して、気温や天気が大きく変わるようなタイミングは、無理をしないように気をつけましょう。

天気急変に注意!「タケノコ梅雨」

傘を差して港を歩く人

「タケノコ梅雨」はもともと、東海地方の一部で漁師さんが使っていた言葉だと言われています。
もともとは、5月頃に吹く南東の湿った風を表す言葉でしたが、湿った風はたいてい雨を降らせるため、この時期に南東風によって降る雨のことも「タケノコ梅雨」と呼ぶようになったようです。

「タケノコ梅雨」の時期は、天気の急変に要注意。
春から初夏に移り変わるこの時期は、南の海から暖かく湿った風が吹きやすくなり、暖かく湿った風というのは積乱雲を発達させることが多いため、急に強い雨が降り出したり、雷を伴ったりするおそれがあるからです。

外でのレジャーが本格化するシーズンでもあり、野外では空模様の変化に気をつけながら活動する必要があります。

春ならではの"梅雨"の特徴を知って快適にすごそう

花と雨

春は本来、暖かくなって花が咲き、おいしいものが旬を迎えてすごしやすい季節のはずですが、「菜種梅雨」や「タケノコ梅雨」のように一時的に雨や曇りが続くことがあります。

6~7月の梅雨と比べて大規模な災害につながることが少ない反面、この記事で書いてきたように体調やレジャーなど身近なところに影響が出やすいという特徴も。
春の"梅雨"をよく知っておくことであらかじめ対策をして、できるだけ快適に春をすごしたいですね。

■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。サンキュ!STYLEでは、誰かに教えたくなるお天気の豆知識や災害に備えるコツ、「食」に関する情報を中心に発信中。

計算中