2017/12/16 06:00
私が毎週欠かさず視聴しているテレビドラマ『相棒』の第9話で、「相貌失認」という症状が取り上げられていました。

この言葉を知っている人はそう多くはないのではないでしょうか(私は初めて聞きました)。

相貌失認とは人の顔を認識する力に問題がある状態で、人の顔を見てもそれが誰であるか判断できないという現象が起こりえます。

17-12-15-16-00-49-726_deco.jpg
(見えているはずなのに見えていない…、いやこれは単に隠しているだけです)

視力が悪いわけでも、人の顔に関心がないというわけでもありません。

人間の脳には丸や三角などの図形とは別に、「人の顔」の形だけを認識する分野があると聞いたことがあります。

ドラマの中では、この脳の領域に問題がある場合に相貌失認になってしまうという説明がありました。

見えていないのではなく、顔の特徴をとらえることができないということのようですね。

私は相貌失認ではありませんが、人の顔を覚えるのが得意ではないので少しだけ分かる気がいたします。

「この人の顔はこんな感じ」というイメージって口では説明しづらいものですし、人の顔を自分がどうやって認識しているのかも実はよく分かりません。

つまり無意識のうちに脳が顔のパーツの特徴やバランスを把握し統合して「この人は○○さん」と認識しているらしいのです。

それができないと、どうなってしまうのでしょうか。

ドラマの中では、相貌失認の症状を持つ女性が事件現場付近で容疑者を目撃します。

しかしながら彼女は、どうしてもその容疑者の顔を思い出せないのです。

服装や背恰好などの特徴は覚えている、つまり顔の記憶だけがスポンと抜け落ちてしまっている感じです。

容疑者の2人組は彼女が人の顔を覚えられないことを知っていたので、服装を変えて彼女に接触し知りたい情報を聞き出そうとします。

もちろん彼女はそれが目撃した容疑者達だとは気付きません。

しばらく後、容疑者達は再び服装を変えて彼女に接触し拉致しようとするのですが、その時になって彼女は顔以外の特徴からそれがあの時目撃した2人だと気付くわけです。

こんな事態は日常生活では起こりにくいかもしれませんが、小さな子どもの場合は知っている人と知らない人の区別がつきにくいので誘拐の危険性が増すこともあるでしょう。

ドラマの中では「常連客の顔を覚えられない」「友達と偶然出会った時に無視してしまう」などの悩みも語られていました。

この相貌失認は、発達障害の人に多くみられる症状だということが分かっています(全てのケースが該当するわけではありません)。

実際、療育センターの勉強会で相貌失認と思われる子どもの話を聞いたことがあります。

その子は自分の母親が美容院に行って帰って来た時、泣いて大騒ぎしたそうです。

寂しかったからではなく、帰って来た母親が誰だか分からなかったらしいのです。

つまり、その子は母親の顔を認識しておらず、髪型によって「この人が自分の母親だ」と判断していたということ。

これではおちおち髪も切れませんね。

うちの息子の場合は、幼稚園の先生が「だーれだ?」と聞くと「○○先生」と答えられるのでとりあえず大丈夫のよう。

とはいえ、人の表情はよく分かっていないようなふしがあります。

特に、怒っている顔は分かりづらいようで。

悪いことをして先生からお説教を受けている時でも、へらへらと笑っている息子を見ていると申し訳ない気持ちになってきます。

17-12-15-22-30-28-432_deco.jpg
(この顔は「あっかんべえしてる」と申しておりました)

先日はいくつかある顔のイラストから同じものを探すという課題を見て固まってしまい、業を煮やした私は定規を持ち出し「ほら口の長さが違う、こっちは1センチちょっと、こっちは2センチより長い」などと言い続けてしまいました。

今思い出すと大人げなかったです。

もう1つ『相棒』に取り上げられていたテーマで興味深かったのが、第4話に出てきた「共感覚」。

後天的サヴァン症候群を持つ男性が、素数の書かれたカードを「キラキラ光って綺麗」と言ったというエピソードがありました。

数字などの文字に色や音を、音に色を、絵に音を感じるといった、ある刺激から別の刺激が呼び起こされる感覚を「共感覚」といいます。

こちらは私自身、少し身に覚えがあります。

幼少の頃は、数字に色があるように感じておりました。

1は白、2は黄色、3は水色、4はピンク、5はオレンジ、6は紺、7はサーモンピンクや肌色に近い色、8はエンジ、9は緑、0は灰色だったかと記憶しています。

17-12-15-21-11-06-183_deco.jpg

なるべく忠実に再現してみましたが、1が白いから見づらいし、7はぴったりくる色が見つからなかったので適当に色を混ぜてみたら何かぼやけた色になってしまいました。

記憶を頼りに書いたので、当時見えていた色は少し違ったのかもしれません。

この感覚、小学校に通う頃にはいつの間にか消えていました。

黒い鉛筆で字を書くようになってから、「数字も平仮名も全て黒いものなのだ」とすりこまれてしまったのかなあと推測しております。

でもたまに、色の付いた太字で電話番号などが書かれているのをじっと見てしまうと、頭の奥の方でブザーが鳴るような違和感が起きて気持ち悪くなることが。

この共感覚についても、発達障害の人に多いらしいことが分かってきたそうです(やはり全てが該当するわけではありません)。

あって困るような感覚ではなく、むしろ記憶力を高めるのに一役買ってくれるそうです。

ただし、いろいろな情報を1度に感じてしまうため疲れやすい傾向が。

そんな場合は、意識して刺激の少ない空間を作ってあげることが必要になるかもしれません。

息子に共感覚があるのか気になり、電卓を取り出して「1は何色?」としつこく聞いてみたら「1」という答えが返ってきました。

17-12-15-23-16-52-356_deco.jpg

困らせてしまって悪かったです。

こういった特性についての話を聞くと、「私が見ている世界は他の人と同じ世界ではないのかもしれない」と思うようになってきますよね。

今のところ、その疑問について正確に検証する手段は思いつきませんが。

何はともあれ、ドラマという印象的な手段でこういった特性を紹介してもらえたというのは少し嬉しいです。

自分だけの世界を過信せず、お互いがお互いを思いやれる社会を作っていけたらいいですよね。







danngoさんのファンになる
この記事をみんなに教える
  • ごはん
  • おうち
  • ハンドメイド
  • やりくり&懸賞
  • 健康&ダイエット
  • ビューティー&ファッション
  • おでかけ
  • お買いもの
  • 子育て&家族の話
  • あれこれ
コメント(6)
内海さん、コメントありがとうございます。

いろいろ考えてしまうとコメントするのに時間がかかってしまいますよね。なんかすみません。

相貌失認にも程度があるらしくて、目の前にその人がいるのに全く顔を認識できない場合もあれば、目の前にいれば「この人こんな顔」とわかるけれど、後から思い出すとちっとも思い出せないというパターンもあるようです。

お話にあった男の子は、軽度の相貌失認かもしれませんね。本当に程度はいろいろで、「濃い顔なら覚えられる」とか「薄い顔の方が覚えやすい」とかいう傾向がある人もいるらしいです。発達障害の人は概して記憶力が良いので、記憶の問題ではなくその前の特徴を捉える力が足りない気がします。

人の顔を覚えられないって、想像以上にきつい気がします。服装は毎日変わるから、声で識別するしかないのかな。

クラスの人たちの感情や雰囲気などに色が見える場合「オーラが見える」という風に表現されることがあるみたいです。スピリチュアルな感じがしますよね。声や音に色を感じる人も多いみたいです。これは私にはありませんでした。

息子の件、アドバイスありがとうございました。どうしたらいいか分かっていないとは思ってもみませんでした。その可能性はありそうです。「神妙」という言葉は難しいから「普通の顔しなさい」と言うしかないのでしょうか。それか、そういうものだと諦めて周囲に理解してもらう方が早いですかね。

「怒ってるんだよ」と伝えることはあります。今度は「分かる?」と付け加えてみたいと思います。ありがとうございました。


by danngo 2017/12/18
なんだかずっと気になっていて、このページ、何度目かの訪問です(ならさっさとなんか書けば?ってコトなんだけど*笑)
こんばんは。舞です。

色々思い出していました。
自分のことじゃなくて、今までに出会ってきた子たち。

もう10年以上前だけれど、会うたびに「お前は誰だ!」と言う子。
ホントに覚えられないみたいで。1カ月に1回くらいだからかな。
その時かかわっていた先生達も、会わなくなったらすぐにわからなくなってしまったようです。もともと「おい」「おまえ」で、名前も読んでいなかったっけ。
人の顔が全く分からない(覚えられない)、というより、かなり記憶すること、記憶を維持するのが難しい、という感じかな。

クラスメートをなかなか覚えられないでしょうから、毎日知らない人たちと過ごすようなものかもしれない。
としたら、毎日しんどくなるだろうな。
みんなは知っている者同士なのに、自分だけ知らない人。それって、アウェイ感たっぷりですね。
学校や教室が、とてもエネルギーを使う場所だっただろうな…。

それから、教室の空気に色がある、と言っていた子。
その日によって違うのだとか。
自分の気分とリンクしているわけではないとも、ね。
その空気の色を見て、入るか入らないか決めると言っていました。

人の声に色があると言っていた子もいたっけ。
よく「黄色い声」なんて言うけれど、その子にはそれぞれの声に色が見えると言うから、それはそれは賑やかに感じただろうな〜。

これらが相貌失認や共感覚だったのかは分からないけれど、ふと思い出しました。

それとは別に。
息子さんの、人の表情がよく分かっていないのかも、という件についてです。
もしかしたら、怒っていることはわかっているけれど、どうしたらいいのか分からない、ということはないかな、と思いました。

中学生や高校生になると、色々説明したり考えてくれるので、彼らに教えてもらったことなんですけどね。
怒られるとついヘラヘラしてしまうのは、怒っている顔に耐えられないからだと。
怒っていることも、ヘラヘラしても意味ないことも、と言うか余計怒らせてしまうこともわかるようになったけれど、どうしたらいいかわからないから、つい笑ってしまうと言うのです。

ここからは私の想像なんですけれど、小さいころから、自分が笑うと大人(相手)も笑顔を向けてくれる経験、していますよね。
だから、怒っている顔を何とか優しい顔にしたいと(たぶん無意識に)ヘラヘラして(・・・と見える笑顔で)何とかしようとしているのかな。(中には、怒っちゃったりパニックになる子もいますね)
このタイプの小学生も、相手が怒っているとわかっているけれど、ヘラヘラしちゃうんですって。
だから、怒っているのが分からないというよりも、困っているのかな、神妙にするっていうスキルがないからそうなっちゃうのかな、と考えました。

danngoさんの息子さんの場合どうでしょう。
そのような場面で、「怒っている(怒らせてしまった)ことはわかっているのかな?」と聞いたら、なんて答えるのかな…なんてふと考えてしまいました。

相変わらずの長文、失礼しました。
感想文だと思って流してくださってOKですよ*^^*
お邪魔しました。




by 内海舞 2017/12/17
三宅さん、コメントありがとうございます。

よその家庭の話なので「そうなのか…」で済みますが、うちの息子が同じ感じだったら相当つらいですよね。

引田天功…彼女は広告の契約の関係で見た目を変えられないって聞いたことが。髪型のみならず、スタイルも維持しないといけないらしいので(^^;

付き合うのは大変ですが、その子の特性自体は変えられないので周りが工夫するしかないんですよね。
by danngo 2017/12/16
読んでいて自分の親を顔ではなく髪型で判断していたというのに驚きました。
引田天功みたいに同じ髪型でないと母親と認識されない。
悲しいけど、それがその子の個性なら付き合っていくしかないなと改めて思ったのでした。。。
by 三宅智恵子 2017/12/16



acoさん、コメントありがとうございます。

環境が変わると「この人誰だっけ?」となるケースは多いらしいです。おそらく、顔以外の情報に頼る割合が他の人より多めなのでしょうね。

私も学校で働いていた時、同じ赤縁の眼鏡をかけている女子が2人いてどちらがどちらだか分からなくなったり、勝手に前後で席替えした生徒がいたせいで名前を呼び間違えてしまったりしたことが。人の顔って、しっかり見ているつもりでも案外覚えていないものです。

>私が見ている世界は他の人と同じ世界ではないのかもしれない
このことに気付かない人が、案外多いみたいです。自分は忘れっぽいとか、他の人も同じように見えているはずと勘違いしやすいらしいのですよね。

相貌失認も共感覚もさほどよく知られている特性ではないのですが、こういうことがより広く知られたら、特性のある人もない人も理解し合えるようになるんじゃないかなあと私は思います^^
by danngo 2017/12/16
おはようございます。

私も 相貌失認ではありませんが、人の顔を覚えるのが得意ではないので少し分かる気がします。

教室で会えば誰のママか分かるけど、スーパーで会うと分からない。
お店で会えば常連さんと分かるけど、道で偶然会うと気づかない。
クラス替えをすれば クラスメートの顔と名前が一致しない。
そんなことが多々あります。

共感覚については覚えがないのですが

「私が見ている世界は他の人と同じ世界ではないのかもしれない」という恐怖心を幼い頃は持っていたので
もしかしたら 何か人と違う見え方をしていたのかも?と ブログを拝見して感じました。

でも 自分だけの世界を過信せず、お互いがお互いを思いやれる社会を作っていけたら。本当にその通りだと思います。
by aco 2017/12/16