2018/01/11 06:00
冬休みはそろそろ終わり、3学期が始まりますね。

行事や行楽が多い2学期と比べると、3学期前半はあまりバタバタしない時期だと思います(受験生除く)。

定期テストも、1回しかないことが多いですしね。

寒くて引きこもる日が増える分、中高生にとってはこれまで手薄になっていたところを復習して補強するチャンスでもあります。

というわけで、勉学に悩む子どもの手助けをしたく始めた古文シリーズ、久々にやります。

ちなみに、前回の記事はこちらです。

【読解問題はシステマチックに解く】
https://39.benesse.ne.jp/blog/2259/archive/338

そして今回は、ほとんどの人が嫌いだろうからと避けていた文法について少し書こうと思います。


【活用語は歌うように】

文法で重要なのは、活用語です。

つまり、動詞、形容詞、形容動詞、助動詞

学校で文法を習う時も、これらの品詞をまず習うはず。

非活用語に関しては、助詞を除けば覚えることが少ないので後回しで大丈夫です。

そして、活用語を習う際には活用表の中にある活用のパターン(ナ変動詞なら「な、に、ぬ、ぬる、ぬれ、ね」というあれです)を丸暗記させられるはず。

この活用パターンを確実に覚えられるかが、古文を得意科目にできるか否かの最初の分かれ道と言えるでしょう。

特に動詞の活用は、助動詞の活用を覚える際にも応用できることが多いので考えなくても言えるくらいに覚えてください。

覚える時には、とにかくリズムよく大きな声を出すことをおすすめします。

歌を歌うようなイメージです。

あと、文法を説明する時に壁になるのが文法用語。

文法学者の考えた理屈っぽい文法用語は「何が何だか分からない」というものが多いので、混乱しないように以下にざっくり書いておきます。

・活用の種類…活用するパターンを系統ごとに分けたもの。四段活用、上一段活用、カ行変格活用など。

・活用形…文章中の位置や下につく語によって変化する形を分類したもの。未然形、連用形、終止形、連体形、已然形、命令形の6つがある。

・接続…助動詞や助詞が語の下につく時、その語の活用形が何になるかを表す。「ず」は未然形の下につくから未然形接続、「けり」は連用形の下につくから連用形接続などという。

・語幹…活用語が活用した時、変化しない部分(語幹がない語もある)。「読む」という動詞なら「読」の部分が語幹。

・活用語尾…活用語が活用した時、変化する部分。「読む」という動詞なら「む」の部分が活用語尾。


そしてこれから書くのは、特に嫌がられる「接続」の話。

助動詞や助詞の接続はそれぞれ違うので、非常に煩雑です。

おまけにこの接続の微妙な違いによって、まぎらわしい助動詞や助詞の識別をしなくてはならない事態が発生します。

例えば同じ「ぬ」という形になっている助動詞でも、「行かぬ」などのように未然形の下にあれば打ち消し「ず」の連体形、「行きぬ」などのように連用形の下にあれば完了「ぬ」の終止形、となります。

願望の助詞「なむ」と、強意と推量の助動詞がくっついた「なむ」もよく見分け方がテストに出題されます。

教員時代、願望「なむ」は未然形接続で「〜してほしい」と訳し、強意+推量の「なむ」は連用形接続で「きっと〜だろう」と訳す、などと説明しようとしたら生徒の半数がフリーズしました。

この子達のレベルじゃこの説明無理だった、もうすぐ定期試験なのにどうしよう…と思った私は半ばやけくそで。

「じゃあ、『なむ』の上の音だけを見て。『なむ』のすぐ上の一文字がア段だったら願望だと思えばいい。イ段だったら強意+推量で訳して」

この説明、実は穴だらけなのですが未然形は活用語尾がア段になるものが多く、連用形の場合はイ段が多いということは事実。

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(その時の板書の再現。無理矢理感半端ないです)

そしてこの付け焼き刃によって、古文のテストで赤点続きの生徒達も「なむ」の見分け問題、定期テストで正解することができたのです。

その時に気が付きました、文法を考える上で「音」って大事なんじゃないかと。

文法なんてものは自然の林に勝手に針葉樹林だの広葉樹林だの名をつけるのと同じで、自然発生的な事柄に秩序を探し出したもの。

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(イメージ)

文法ありきで言葉ができていったわけではないのです。

古代の人は割とゆっくり、歌を歌うように話していたのじゃないかという説を聞いたことがあります。

だから、言葉は音の響きが美しく聞き取りやすいことが優先されたのではないかと。

そう考えると、古典文法にしばしば見られる変な(イレギュラーな)接続の意味も分かります。

完了の「り」という助動詞があるのをご存知でしょうか。

サ変動詞の未然形と四段動詞の已然形(もしくは命令形)の下につくという謎の接続をするやつです。

なぜこのような限定的で不規則な接続をするかとよく考えたところ、「り」の上の音は必ずエ段になるということに気付いたのです。

「せり」、「行けり」といったように。

サ変は已然形もエ段で終わるじゃない、と思った人がもしかしたらいるかもしれません。

でも「すれり」って、言いにくいですよね。

なので「せり」の形が定着したと考えると良さそうです(実際は「しあり」「行きあり」などが変化してあの形になったという説が有力のようですが)。

その他の例。

・「べし」などの終止形接続の助動詞はラ変型活用語に接続する場合のみ連体形に接続する。
ラ変型以外の活用語は終止形がウ段で終わる。なので「あべし」などとなるのを嫌い、連体形を用いて「あべし」となったらしい。

・過去の助動詞「き」は連用形接続だが、サ変とカ変に接続する時のみ「せし」「せしか」「こし」「こしか」という未然形に接続する形が存在する。
→連用形接続だと「しし」「きき」という形ができてしまうので、これを避けたと思われる。

他にも探せばあるかもしれませんが、このくらいにしておきましょう。

18-01-10-22-29-14-287_deco.jpg
(これを書くにあたって、あれこれ書いたメモ。読まなくていいです)

今回書いたことは私個人の解釈が入っていて、全てが定説ではないのですが。

ともすれば理屈中心になりがちな文法も、「音」に着目すればすんなり理解できることがあるかもしれませんよ。


ここまで長々とお付き合い下さいまして、ありがとうございました。

ただでさえ分かりにくい文法の話にここまで付き合えた方は、勇者と言えるでしょう。

最後に一言。

ほとんど需要のないこの古文シリーズですが、少数ながら面白いと言って下さる方が何人か存在するのは本当に嬉しいです。

しかもこのたび、mihoyamanaさんがこの古文シリーズに刺激を受けて古典文学作品に興味を持ち、『平家物語』冒頭部分を題材にした小説を執筆されました。

そして、見事受賞の快挙。

ということで、ついでに彼女の方のブログも覗いてきて下されば、至福の限りなのであります。
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コメント(8)
内海さん、コメントありがとうございます。

最初からできるっていうのはやはりないですよね。それにしてもよくお勉強されましたね。それぐらいガッツのある生徒、近頃あまり見ないです。

私も、文法習い終わる前にあれこれ図書館で借りて読んだので、助動詞の接続あたりは後付けで覚えたところが多いです。それもいいやり方だと思いますよ。あえて訂正させて頂くと、変格活用にはサ変もあります。

平家に限らず、装束の形や色の描写は多いですよね。王朝の文学から受け継がれたのだと思います。その代わり、容貌の描写では髪の毛以外のパーツを具体的に書くことはほとんどないです。今ほどいろいろなタイプの美形がなかったからでしょうか。その代わり、着るもので個性を表現したのかも。

平家も徒然草も中世文学なのであまり読み込んでおらず、舞さんの方が詳しそうですね。徒然草は一応読んだものの印象の薄いところは忘れております。兼好さんは、僧侶らしからぬところも結構あって、突っ込みながら読むのもなかなか楽しいものです。
by danngo 2018/01/13
えっと。初めからできたわけではありません。分からないとこだらけで、よく、参考書とか教科書の解説とかに載ってるやつ。あれ見ながら結構苦戦しました。初めてチャレンジした時は、3行分解するのに1時間とか(笑)
そのうち、動詞がくるから連用形〜、名詞だから連体形〜。とか。願望じゃなくて強調の「なむ」が上にあるから終止形じゃなくて連体形。「こそ」だから已然形〜♪(←係り結び?) みたいに分かっていって、少しずつスピードアップしたの。だから、前後がないとわかんない(笑)
助動詞も、何に接続するか当時は覚えていたけど、もうすっからかん。
変格活用が、カ・ナ・ラ行の3つってわかったのはだいぶ経ってから。普通の人と順番違うのよね。経験からだんだんわかっていったって言う、ね。
「文法」は、ほとんど教えてもらわなかったけど、その分いろいろ読んでたのかな?付属の学校で受験がなかったから、ガリガリやらなかったんだと思う。その分感性を磨きましょう的な。私向き〜♪

敦盛の最期が気に入ったきっかけは、たぶん色の表現がきれいだったこと(鎧だか着物の色のこと、描いてましたよね。こちらもすっからかんに忘れているけど)と、リズムが良かったから。歌うような感じで言葉が綺麗だな〜と。若くてきれいな武将さんってところも、想像力をかき立てられたかな(笑)
これをきっかけに、着る物の色とか、組み合わせによってきれいな名前がついているとか。平家はそういうところを見ながら読んでました*^^* 
ストーリーは悲しいけど、それ以上に真剣な生き様と、宿命みたいなものに魅かれていた気がします。思春期ちゃんでしたから(笑)
※今朝のコメント「最期」が「最後」になっちゃっていました。訂正します。

「梅の契り」かすかに記憶しています。でも、更級日記をちゃんと読んだことはないはずです。有名なのをかじった?
兼好さんの方は、わけあって通して5回くらい読みました(笑)教訓的なのが有名ですけど、ちょっとしたつぶやき系が好きです。結構好みとかいちゃもんがあって面白かった*^^*
俗っぽいとこもわりとあるのも、堅苦しくなくていいな〜って。ヘンな高校生でした(笑)
by 内海舞 2018/01/13
内海さん、コメントありがとうございます。

品詞分解が最初からできたとは、謎です。私個人としては、いきなり品詞分解から始めて挫折する生徒が多いので、無理にやらなくてもいいという意見なのですが。活用表が怪しかったということは、直感がすごかったんですね。

「敦盛の最期」は悲しい話ですよね。たまにものすごく好きという人を見かけます。私は、口語訳で『枕草子』を読んで興味を持って、『伊勢物語』の「筒井筒」あたりで和歌の美しさに目覚めました。舞さんより単純なものが好きみたいですw

文法は、あくまでも正しく読むためのツールに過ぎないので、古典文学を読む時常に意識する必要はありません。つまり、できなくて困らないならそれでいいです。

私も、助動詞を暗記する時は例文を丸暗記するほど読んで、分かるものはその前後のストーリーまで確認してました。その方が確かに頭に入ります。願望の「なむ」は『更科日記』の「梅の契り」で「いつしか梅咲かなむ(早く梅が咲いてほしい)」という文で覚えました。継母が「梅が咲いたら帰って来るから」と言って家を去ったので、作者が梅の咲くのを待ちわびた話。ご存知ですかね。

『徒然草』は人生の教訓みたいな話が多いですねえ。私も兼好さんの感性は好きです。それにしても、30分って…、すごすぎます。よく考えたら経験豊かな人生の先輩に教えられるほど偉くもないのですが、気が向いた時は付き合ってもらえればうれしいです。

by danngo 2018/01/12
mihoyamanaさん、コメントありがとうございます。

すみません、説明が足りないのかも。文法はやっぱり、短くまとめるの難しいです。「助動詞などの接続で不規則な形のものは、音の美しさや言いやすさを優先した結果と思われる」というのが主要テーマ。それさえ伝わればそれでいいです。

ただし接続は、活用形の持っているイメージに影響されるところが大きいです。未然形は「まだ始まっていない」、連用形は「いったん区切りをつける」というイメージがあるよう。だから願望は未然形接続なんです。伝わるかしら。

>なむの「ア段」=直前の母音がa
「イ段」=直前の母音がi
それで合ってますよ。ローマ字で書けばよかったですね。

日本語の助詞、厄介ですよね。私もいまだにこいつの正体が分からず。西洋の文法にある細かい品詞分けは日本語に不向きかも。高校では習わないですが、「詞と辞(気になったら検索してみてくださいすみません)」くらいにざっくり分けたほうが日本語らしいですね。

(1)から読むんですか!サポブロ時代の記事なので、相当さかのぼりますよ。お手間をかけさせて申し訳ないです。

by danngo 2018/01/12
古文シリーズのコアなファン2号の舞です♪
(1号はみほさんに譲ります*^^*)

私がdanngoさんのファン登録をしたきっかけが、この古文シリーズでした。
好きですよ〜、私は。 難しいけど。
遥か昔、品詞分解が好きで、まずはここから〜 だった舞。
でも、理屈はよくわかんなかった。 教わんなかったし。
何でできていたんだろう??? 今でも謎じゃ。
ちなみに、活用表をちゃんと唱えることはできませんでした。
唱えられないのに品詞分解はできちゃう。ヘンな子だねぇ(笑)

中2か中3の時に国語の教科書に載っていた「敦盛の最後」がいたく気に入って、最初から最後まで何度も読んでいるうちに、完全に暗唱できるようになったのが、古文が好きになったきっかけ。
ん? 暗唱できるようになったから好きになったんじゃなくて、
そのくらい「敦盛の最後」が好きになって、その世界観が好きで・・・
そのうちに古文そのものの世界観が気に入った。が正解*^^*

だから文法はどうでもよかったみたい。 
でも一応意味は捉えられるようになりたくて、品詞分解することを覚えたの。
当時から、主観的・直観的・感性の中で生きている感じ(笑)
かなりイレギュラーなタイプだったのかな?
ふつう、ほんとに好きになったら、文法も理解できるようになるよね、きっと。
今からお勉強しますので、先生よろしくお願いいたしますm(_ _)m

先生、ワガママ言っていいですか?
前回のように、ストーリーがあるとわかりやすいです。
できれば単語だけよりも、文章全体があると嬉しい♡ お願いします。 
何しろ直観的かつ感性の人間なので、文になると途端に映像が豊かに広がります(理解力が10倍以上に跳ね上がる♪)
源氏物語はちょっとしかわかりません(桐壺は大丈夫でした!)
私はつれづれぐさが一番好きです。
注文の多い生徒ですが、よろしくお願いいたします。
コーヒー片手に30分以上かけて熟読いたしますので許してね*^^*
by 内海舞 2018/01/12
danngoさん

おはようございます。

熟読しましたが、やっぱり理解及ばず…。基本がなってないからでしょうね。ア段とか未然接続詞とか、完全に忘れてます。
(1)に立ち戻ってガン読みしている最中です。

なむの「ア段」=直前の母音がa
「イ段」=直前の母音がi
ってことですか。

まだ覚えきれないけど、図解されるとやっぱり分かりやすいですね。

日本語の主語を作る助詞の件ですが、同じようなコメントを、舞さんからいただきました。
多分、英語にない「助詞」である「は」「が」を、文法的に説明しようとした結果なのではないかと思います。
英語だと、主語だと名詞や名詞節がそのまま、「は」「が」を含むし、「も」は"too"や"also"という副詞で…。

ええと、この辺は自分のブログのコメント欄に書くので、ともかくこのシリーズの1〜9を読み終わるまで待ってください。

mihoyamana
by mihoyamana 2018/01/12
mihoyamanaさん、コメントありがとうございます。

数少ないファンの方にコメントもらえて嬉しいです。これでコメント欄からmihoさんのブログに飛べるようになりましたね。コメント欄まで皆さん読んでくださるかな。

私も日本語の文法はしっかり理解しているかどうか。考えれば考えるほど頭こんがらがります。ぐるぐる。

今思ったんですが「が」の意味を「主語」にするからだめなんじゃ?「は」とか「も」だって主語作るわい!「単純な主語」とかにしたらどうなの、と。個人的見解です。

昔は早口=下品、だったようですよ。京都の人とかゆっくり話すし、イントネーションが綺麗ですよね。少し昔の名残があるのかも。

キノコはちょっと狙いました。笑ってもらえて良かったです。

by danngo 2018/01/11
danngoさん

きたぁぁぁぁぁ!古文シリーズ!

今、日本語文法の話の直後で頭がアレになってるから、中身はじわじわゆっくり読ませていただきます。

名前まで出していただいて、ありがとうございます。
PVうpを期待しようと思います?

古文は歌うように、
いいですねぇ。
日本語も捨てたもんじゃないですねぇ。

イメージの絵に、キノコ生えててちょっと笑いました。

また後でお会いしませう。

mihoyamana
by mihoyamana 2018/01/11