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【連載】熟れすぎMANGO VOL.114

2017/09/26【 連載 】

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「「夫婦」を楽しむちはるのスーパーポジティブY談」をお届けします。

思い込みの激しい男

 うちの旦那くんは、実に思い込みが激しい。洋服なども自分の信頼している先輩がやっているブランドでしか買わないし、他のものはしっくりこないと決め込んでいる。靴も帽子も手袋も同じブランド。つまらないじゃん。私より随分と若いのだから、もっと色んなものに挑戦してみたらいいのにと意見すると、「けど先輩のとこなら半額で買えるんやで」と即答される。まあ、それはそうだけども…。

 食べものに対しても思い込みが激しい。かなりの大食漢なのに自分はそこまで食べる方じゃないと思い込んでいるところが参ってしまう。食卓に大皿でドンッと出すと、あっという間にペロリと平らげるくせに、「ああ、腹苦しい。もうちょい上品に少なめに出してや」などと、身の程知らずなことを言う。逆に量を抑えて出すと、やはり足りないらしく、食後にお菓子を爆食いしたりしている。ポン酢やドレッシングにも特別な思い込みがあり、お鍋にはコレじゃないとあかんだとか、このサラダには絶対コレだと決め込んでいる。こっそり違うポン酢を入れて出しても気づかないくせに、「関西人はやっぱり旭ポン酢がしっくりくるわあ」などと、したり顔…。おいおい!

 一番困るのは、体調の変化にやたら過敏なところだ。お腹が痛くなると、盲腸かも!?とすぐに大げさに考えたりする。この年末年始も随分と前から彼の実家にお邪魔しようと決めていたのに、前日からまんまと体調を崩した。旦那くんは楽しいイベントごとの直前に決まって具合が悪くなる。まるで遠足を楽しみにしすぎて、その興奮のあまり知恵熱を出す子供のようなのだ。帰省の準備を始めると、喉が痛い、尋常じゃないぐらいダルい、などと大げさに言いだした。原因は年末の飲み過ぎによる二日酔いだと思うのだけど。だが思い込みの激しい旦那くんは、「これインフルエンザとちゃう?」と言い始め、大げさに咳き込み出し、喉の痛みをどんどん悪化させていった。うがいを沢山した方がいいのでは?と意見しても、「余計に咳き込んでまうから」と言い張り、ネギを首に巻いたりしていた。それ効果あるのか?

 結果、根性で!?熱も上がり、ふぅふぅと苦しげな表情を作ってみせる。あのぉ、微熱なんですけど…。男ってどうしてこう熱に弱いんだろう。結局、帰省は断念。頭が熱いと大げさに騒ぐ旦那くんの額に冷やしたタオルを乗っけながら、紅白歌合戦を悲しく見ていた。

 明けて元旦。「まだ喉が痛いねん。気管支炎かもしれん」と言いながら、お雑煮のお餅を四つも平らげる思い込み男。「ビールで喉冷やしたろ~♪」と冷蔵庫へ向かう背中に、ついに怒りが爆発してしまった。ドガ──ンッ! ! 関西人の夫を持つ妻あるあるだと思うのだが、旦那と喧嘩になると何故か関西弁がうつる。やはり関西弁は、まくし立てるのに向いている言葉なのだろう。でも、悲しいかなエセ関西弁。肝心なところで可笑しな言い回しになり、相手の失笑を買ってしまったりする。ちくしょう。「なあなあ、ちょい落ち着いて。思い込みが激しいのは、どっちもどっちとちゃうか?」

 完璧な関西弁で素っ頓狂に諭され、少し頭が混乱する。「はあ、何言うとんねん!」私のエセ関西弁がさらに素っ頓狂に響く、元旦の朝。

 確かに「思い込みが激しい」と決めつけている私の方が「思い込みの激しい女」なのかもしれない。「もう、どっちでもええわ!」なんだか、つまらないことに囚われていた自分がバカバカしくなってきてしまった。「せやろ」と旦那くんがまたしてもしたり顔で言うので、「そうやねん!」と、したり顔で返してやった。

 今年の夫婦の抱負は「お互いの思い込みと、私のエセ関西弁を寛大に受け流す」にしよう。

文/ちはる

ちはる テレビ、CF、著書の企画、 プロデュースなどで活躍中。2012年、14歳年下の旦那くんと再婚。 目黒でカフェ「チャム・アパートメント」を経営。

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