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【連載】熟れすぎMANGO VOL.128

2017/10/11【 連載 】

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ちはるの老眼鏡!?「ノンフィクション人生」

お茶屋のアイドル、お仙ちゃん!

 うちのカフェには歴代かわいい看板娘たちがいたけど、かわいい子ほどす~ぐやめちゃう。時給の安いカフェのアイドルは長く働けないのが現実なのかな?そうそう、今から250年ほど前に、江戸は谷中にある笠森稲荷の門前の水茶屋で働く「お仙」という看板娘がいました。このお仙ちゃん、かなりべっぴんさんだったそうで、その評判が江戸中を駆け巡り、わざわざ彼女見たさに団子を食べに来るお客が続出。お仙ちゃん手ぬぐいや人形やらも売り出し、狂言や歌舞伎などでも彼女をモデルとした人物が登場しちゃうほど大人気に。「会えるアイドル」の元祖?として一大ムーブメントを作ったそうなんです。そのブームに乗ってポストお仙を狙う町娘も続々と登場し、現代のAKB総選挙のような人気投票もあったそうだから驚き。

 お仙ちゃんが描かれた錦絵をみると、すまして座っているものはほとんどなく、小首をかしげながらどこか楽しげに団子やお茶を運ぶ姿が可憐に描かれています。少しだらしなくも見える着物の着方もちゃんと計算されたお洒落だったんでしょうね。きっと彼女は、女性にも人気のファッションリーダー的な存在。

 その後のお仙ちゃんの人生はというと、錦絵が世に出回った2年後ぐらいに突如このお店から姿をくらましてしまったらしいんです。「嫉妬に狂った茶屋の主人に喉を噛みちぎられて死んだ」なんて怖い噂も流れたみたいだけど、実際はそんなことは全くなく、地主に嫁ぎ、玉の輿結婚! 9人の子供に恵まれ、当時ではかなり長寿の77歳の人生を全うしたそうなんです。

 お仙ちゃんみたいな看板娘、うちのカフェでも働いてくれないかな。彼女はただきれいでおしゃれだったんじゃなくて、きっとすごく愛嬌があって、やさしくて思いやりのある子だったんだろうなと思う。「応援して!」ではなくって、どんなときも笑顔でひたむきに一生懸命やっている「応援したくなるような」娘。その元祖アイドルのお仙ちゃんが、250年以上たった今も語り継がれているってすごいと思うし、その人間力は相当なパワーだったんだろうなって。彼女から感じる「思いやり」とか「感謝の気持ちの大切さ」っていつの時代でも同じ。たとえ美人ちゃんでも、たとえ芸達者でも、たくさんの人に愛されることってそこが肝なのかな?

 しかし、いつの時代でも人気者の不幸な末路をほくそ笑み、デマを流す了見の狭い輩がいるんだね。現在も大衆に愛されたお仙ちゃんのお墓は中野の正見寺にあるそうです。近いうちに商売繁盛のご利益をもらいにお参りに行かせてもらいたいと思います。

文/ちはる

ちはる テレビ、CF、著書の企画などで活躍中。12年、14歳年下の旦那くんと再婚。目黒でカフェ「チャム・アパートメント」を経営。

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