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【連載】熟れすぎMANGO VOL.125

2017/10/10【 連載 】

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「夫婦」を楽しむちはるのスーパーポジティブY談

ズロースの呪い

 女は自分に甘く人に厳しい生き物だ。

 私の母も、特に家族に対して口やかましい人で、何もそこまで言わなくともと、子供心に傷ついたりうんざりすることがしょっちゅうあった。娘の顔をまじまじと見つめ「あんたは顔がでかいねえ」とか「お父さんに似て鼻の形が変!」だとか思い付いたままに傷つく言葉を投げかけてくる。父に対しても近くに寄れば「足が臭い!」だの「頭のてっぺんが薄くなった」などと眉間にシワを寄せて言いたい放題。多少うなずける部分はあったけど、黙って背中を丸める父を気の毒に思っていた。

 自分の夫をあんな風にののしる可愛くない女にはなりたくない! 人一倍そう思っていたはずなのに、私もいつの間にか酷く口うるさい女になっている。血は争えないのか?性なのか?

 ひと回り以上も年下の旦那くんの欠点はとにかく目につく。付き合いだした当初、「可愛いッ!」と思えていた若さが、5年も一緒に暮らすと鼻につくようになる。車の運転、挨拶、歯の磨き方まで、いちいち難くせを付けてしまう。幸いにも彼は受け流すことが上手い世代で、あまり対抗してこないので余計に調子に乗ってはやし立ててしまうのだ。

 特に許せなく、小言を言ってしまうのがお風呂。

 旦那くんは何故か夜のお風呂を嫌う。本人いわく、朝入っているから夜はいいのだそう。せっかく洗ったシーツに一日のアカを落とさずに入られるのは私にとってはとても許しがたいこと。それに夜のお風呂は、夫婦の営みにも響いてくると思うのだ。

 久しぶりにエッチな気分になった夜。最初は可愛く「シャワー浴びてきてよぉ」と頼んだが、彼は面倒くさがり一向に応じない。つまり私と抱き合うことが面倒くさいってこと!そんな風に感じてしまいついつい呪いの言葉が飛び出してしまう。「肌がザラザラでキモい」「ワキガくさい」。旦那くんはいつか見た父のように肩を落とし、下半身もしょんぼりに。更に追い討ちをかけようとする私に、旦那くんは大きくため息をつき珍しく反撃の一言を発した。「ちはるのパンツもゴム伸びてダルダルやん!」パコーン!コーナーに追い込まれた旦那くんがまさかの逆転アッパーカットを炸裂。確かに私のパンツは何年物なのかも分からないダルダルなアンティーク感をかもし出していた。脱ぎ着が楽チンなだけの量販店で買ったオバちゃんズロース。考えてみたら近ごろ下着のことなんて全く気にしていなかった。

 翌日、私は数年ぶりにランジェリーショップに行った。奮発して買った薄紫のセクシーなパンティ。これをはいている時には小言を控えよう。小さく誓った私は昨日よりも少しだけ可愛い女になった。

文/ちはる

ちはる/テレビ、CF、著書の企画、 プロデュースなどで活躍中。12年、14歳年下の旦那くんと再婚。 目黒でカフェ「チャム・アパートメント」を経営。

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